2026年7月6日、飲食店向け決済代行大手の株式会社全東信(大阪市)の破産手続開始が決定しました。負債総額は約1,151億円と、2026年最大規模の倒産となっています。
各報道によれば、同社では長年にわたり預金残高や債権などの粉飾が行われていた疑いがあり、東京商工リサーチによると、約170億円の預金残高の水増しをはじめ、架空債権や実質的に価値のない営業権の過大計上などにより、帳簿上は純資産があるように見せながら、実際には約605億円の債務超過だったとされています。
このニュースを見て、税理士として最初に気になったのは、金融機関や専門家の目をかいくぐって、「170億円もの預金水増しが、なぜ長年見抜かれなかったのか」という点でした。

預金残高は決算で最も基本的な確認項目です
会社の決算や税務申告では、預金残高は最も基本的な確認項目の一つです。
通常は、預金通帳や銀行の残高証明書と帳簿の残高を照合し、一致していることを確認したうえで決算書を作成します。
もちろん、税理士は会社のすべての取引を監査する立場ではありません。しかし、預金は客観的な資料で確認できる勘定科目であるため、多額の相違があれば通常は気付く可能性が高い項目です。
その意味で、約170億円という規模の預金水増しは極めて異例と言えるでしょう。
現時点では事実関係は明らかになっていません
もっとも、現時点で公表されている情報だけでは、なぜ長期間にわたり粉飾が続いたのか、その経緯は分かっていません。
例えば、
- 残高証明書などの確認資料自体が偽造されていたのか
- 経営陣が資料を隠していたのか
- 外部専門家がどのような資料に基づいて業務を行っていたのか
など、今後の調査や捜査によって明らかになる部分も多いでしょう。そのため、現時点で税理士など関係者の責任について断定的に評価することは適切ではないと考えております。
経営者にとっても他人事ではありません
今回の全東信の事案は、決して特殊な企業だけの問題ではありません。
粉飾決算は、「今期だけ何とか乗り切りたい」という小さな出来心から始まり、一度手を染めると翌期以降も帳尻を合わせるために、さらに大きな粉飾へ発展してしまうケースが少なくありません。
実際、今回報じられている粉飾も、東京商工リサーチによれば少なくとも20年にわたり続いていたとされています。
もちろん、現時点では詳細な経緯は今後の調査を待つ必要があります。しかし、企業規模を問わず、正確な会計処理を積み重ねることこそが、結果として会社を守ることにつながる――今回のニュースは、その重要性を改めて示しているように感じます。
「粉飾決算のリスクについては、以前の記事でも詳しく解説しています。」
関連記事:
粉飾決算は銀行融資でバレる?金融庁も警鐘を鳴らす不正会計のリスク【元商社・与信担当が解説】
お気軽にお問い合わせください。
▶ サニーサイド税理士事務所ホームページ
▶ 無料相談・お問合せ
▶ ブログトップへ戻る
▶人気の記事はこちら:
- 粉飾決算は銀行融資でバレる?金融庁も警鐘を鳴らす不正会計のリスク【元商社・与信担当が解説】
- 資金繰りが苦しい会社に共通する6つの危険サイン|原因と改善策をさいたま市の税理士が解説
- リース契約が割賦販売契約へ変わっていませんか?税制改正の裏で契約更新の見落としやすい会計・税務処理の注意点
- 「銀行が融資の可否を判断する決算書のポイント【さいたま市の税理士が解説】ー元商社審査が教えるNG決算書」
- 「なぜ銀行は“利益が出ている会社”でも慎重に見るのか|資金繰りと返済能力の本質」【さいたま市の税理士が解説】
- 「決算まで業績がわからない会社が伸びない理由 | 毎月試算表を見る習慣が経営を変える【さいたま市の税理士が解説】」
- 【2026年最新】補助金コンサルは違法?行政書士法改正で何が変わったのか 【さいたま市の税理士・行政書士が徹底解説】
- 金利上昇×不動産下落局面における落とし穴|「不動産ファイナンスの本質」をさいたま市の税理士解説|社長・経営者が知るべき会計と節税の視点
- 【不動産投資×金利上昇】節税目的で始めた投資が危ない?|出口戦略とキャッシュフローをさいたま市の税理士が解説
- 「黒字になった会社が成長を止める、本当の理由【副題:利益が出た会社ほど難しくなる資金調達と成長投資の判断】」
▶最近の記事はこちら:
- 社長の退職金はいくらが適正?損をしない金額の決め方・節税ポイントを税理士が解説
- 社長への貸付金は銀行からどう見られる?融資審査で警戒される理由とは?【さいたま市の税理士が解説】
- 社宅は本当に節税になる?|創業社長が見落としやすいポイントをさいたま市の税理士が解説
- 法人保険による節税は終わった?|全額損金時代が終わった後の活用法【さいたま市の税理士が解説】
- 小規模企業共済は、創業会社にとって本当に節税の鉄板?|さいたま市の税理士が解説
▶ ブログトップへ戻る